軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

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刃と魔法の使い方、三人称版です。
一人称版に収録したものよりも長いです。

序章はやはり序章ということもあり、主人公が本領を発揮することはあまりなさそうです。
なんというか、主人公の普段の一日を描写するだけにとどまります。

あ、そうそう。
そしてHNを狩咲 佐倉へと変更というか、こっちが正しいHNなんです、面倒だったから狩咲で一応埋めておいたんです。
後日、略してkskになることに気がついた時はお茶を吹きそうになりました。



以下要望・注意・お知らせなど

誤字脱字、その他文章校正の難などはコメントにて知らせていただければ修正いたします。
というか、絶対に何かしらあると思われるのでご容赦くださいorz

いちゃもん以外の意見、質問でしたらCome on!ですのでお気軽に。
してくださると狂喜乱舞して豆腐の角に頭を打ちつけます。
ただし、質問内容がネタばれになりかねないときは禁則事k……
……お答えできませんのでご了承ください。


『だから、あんたは……』

少女が少年に向かい、冷たささえ感じる口調で言い放つ。
それは少年の持つ心を断ち切った。

『ふざけるな!』

結果少年を支配するのは怒気。
それに任せ少年は ――。








「ああ、くそっ!」

部屋の主である少年が悪態をつきながら体を起こす。
乱暴に毛布を投げ捨て、立ち上がる少年。
だが、何を思ったのか顔を部屋の出入り口方面へと向ける。
その瞬間。

「こら、物を乱暴に使ってはいけないと言ったでしょう?」

そう、少女の声が響く。
その声音は楽しげではあるが、説教するようなものであり、穏やかなものだったのだがそれが耳に届いた少年の反応は速い。
声がした方向へと顔をと体を向け、放たれた拳を右手で受け止める。
衝撃に痺れたのか、顔をしかめて拳の主を睨む。
その視線を受け止めながら、ミシェル・ムルメルカというシスターを名乗れる少女は笑っていた。
シスター指定のローブを羽織っている少女は、『子供達』の姉として慕われており、さながら聖母のようだと評する人もいるほどに見目麗しい。
美しく長い金髪、日に透かした葉の様な色の大きな瞳、
だが少年はそんなミシェルを睨み続けながら、苦々しい顔を見せている。

「で、その言葉とともに拳を撃ってくるのはどういう了見だ?」
「言ってもわからないならこれしかないでしょ?」

悪びれず言ってのけるミシェルに対して少年は溜息を吐く。
右手に握った華奢な拳を開放すると、その手のしびれを取るかのように振りながらまたため息を吐く。

「俺にだっていろいろ事情があんだよ。それとな? シスターが暴力振るってんじゃねえ。服装だけとはいえシスターなんだからニコニコ笑ってりゃいいんだよ。少なくとも俺が生まれたとこじゃそんなイメージだったぜ?」
「……その発言はこの国に居るシスター全員を敵に回すのと一緒だと思うよ?」
「そうか。まあ別にいい。どうせお前しか聞いてねえしな」

ミシェルのどこか咎めるような言葉に対し、欠伸とともにどうでもいいような口調で返す。
と、少年は何か気になるものがあったのかミシェルの斜め後ろあたりにあるはずのドアに目を向ける。
そこにあったものを目にして、少年は再びミシェルを睨む。

「で、だ。そろそろあのドアの有様を説明してほしいんだが?」

と少年が指さしたのはドアの役目をはたしていた物だった。
ドアだったそれは部屋の内側に倒れこみ、周囲に蝶番の破片をまき散らしている。

「……」
「何故視線を逸らすか……ん?」

視線を彷徨わせながら沈黙するミシェル。
それを見た少年がドアにあったそれに気がつく。

「……手前、まさか手前自前の凶器でこのドアに突きなんてかましやがったんじゃねえだろうな?」
「えーと、ほら、ウェルトがちゃんと起きないから……」

少年……ウェルトはドアにある拳大の凹みをにらみつつも、ミシェルに圧力を掛けている。
圧力に屈したのかドアのある方向とは逆にある窓の外に視線を向ける少女。
その顔色は明らかに先ほどよりも悪く見える。
そんな少女を睨みつつウェルトは追撃を開始する。

「で、俺が自然に起きた時点で起床時間三十分前には起きれているみたいだが? ん?」
「え、えーと……ごめんなさい!」
「あ、こら! 逃げるな! これをどうにかしてから行きやがれっ!」

追撃によりミシェルが慌ただしくドアから逃亡。
ウェルトそれを制止しようとするも、余りの速さに反応が遅れたために声すらミシェルには届かなかった。

「ちっ……まあ、あんな夢を見た後だから助かった部分もあるか」

ウェルトは呟いてから今日何度目かの溜息をついて箪笥に手をかける。
着るのは動きやすさを重視し、ところどころに収納スペースを確保した布製の作業着。
それをきちんと着込んでから、枕の下にある短剣を腰に佩く。
短剣を抜いて、二三度調子を確かめるように振ってから、納める。

「刃物の扱いにもなれたもんだな」

呟いてから、顔をしかめる。

「いけねえ、余計なもんまで思いだしかけた。せっかく気分が紛れたってのに」

暗鬱としたものを吐き出すように溜息を深々と付く。
再び短剣を抜いて、何かを切り刻むように振り抜いた後に納める。
収めたまま静止、見る人がいれば部屋の空気すら止まったかの様な静寂と評すであろうそれは幾分か経った後に部屋の主によって破られた。

「おし、行くか」

少年は顔を叩いて気合いを入れてから、ドアを跨いで廊下に出る。
離れと教会本堂を繋ぐ通路は壁がなく、屋根があるだけでありウェルトの吐息は朝の冷たさにより白く消えていく。
それを眺めながら口元をほころばせて呟いた。

「さぁて。今日も一日頑張るとするか」

軽く伸びをしながら歩き続け、終点にある本堂のドアの前へたどり着く。
ウェルトは白い息を吐いて手を温めてから、冷えてしまった本堂のドアノブに手をかけ開ける。
それからそこにある光景を目にして、その口元を僅かにつり上げて笑った。

「ったくよ。あんまり騒いでんじゃねえぞ、ガキども」
「あ、ウェルト兄おはよ!」


ここには教会にあるべき長椅子などはなく、ただステンドガラスとでかい十字架、大きなテーブル一つと小さな椅子がいくつもあるだけ。
事実、ここは今現在教会としては扱われていない。
元々広いはずなのだが、広い空間に十人の子供がいる様子を見ると人の目には少々小さく感じてしまうだろう。

「ああ、おはよう」

挨拶をしてきた子供にそう返し頭をなでるウェルト、他の子供達も気がついたようであいさつを返す。
彼は子供たち全員に返事として頭を撫でる。
ここにいる子供は全員孤児であり、ここは孤児院である。
そんな彼らに足りないのは人の温もりだと思い、それを少しでも与えられればとウェルトは頭を撫でている。

「そう言えば朝ものすごい音がしたけどどうしたの?」
「ああ、どっかの暴力シスターが俺の部屋のドアを拳で一撃で吹っ飛ばしてくれやがった。おかげで風通しが良くなりすぎてな、今日はどこで寝ようか考え中だ」

ウェルトが子供の問いに答えていると、ミシェルとゆったりとした白いローブを着た若い男が鍋とバスケットを抱えてやってきていた。
鍋の中にはポトフが、バスケットの中にはパンが入っており、よい香りを放っている。

「わ、私はノックしただけです!」
「手前あれをノックと言い張るなら俺のコークスクリューあたりすらノック未満になんだろうが!」

その鍋の持ち主であるミシェルは顔を真っ赤にし、それに対してウェルトは理解がし難い例えを出して反論する。
それを見て今度は怒気により顔を赤くするミシェル。
鍋の取っ手を握っている手に必要以上に力が入ってしまっている。

「はっはっは。ミシェル、何事も加減は大事だよ?」

だが、白いローブの男の諭すような言葉にミシェルの怒気が治まっていく。

「う……ごめんなさい」
「そこで俺に謝らずにルース神父に謝るところが流石だな」

ルース、と呼ばれた白いローブの男はウェルトに苦笑を返す。
同じく皮肉気な笑みを返すウェルトの後ろでは子供達が朝食の準備をしていた。
テーブルや椅子を並べ、本堂からつながっている台所から皿を運んで来る子供達。
それを見てウェルトもミシェルの手から鍋を半ば奪うようにして取り、テーブルの上に並べられている食器にポトフを盛り付ける。
ミシェルはむっとしたような顔を一瞬見せたがその顔もすぐに微笑みに変わり、ルースからバスケットを受け取りそこから小さなバスケットへとパンを分けていく。
何もすることがなくなってしまったルースは、苦笑してからテーブルの誕生日席と呼ばれる場所に座って皆の姿を眺めている。
その顔にはいつしか苦笑ではなく微笑みが浮かんでいたが、それに気がついたのはたった一人だけだった。
準備が終わったのを見てとってウェルトが声を挙げる。

「さて、全員席つきやがれ」
「ウェルト、口が悪い」
「聞き飽きた。ほら、席に着くぞ」

そんなやり取りの後に全員席に着いたことを確認したミシェルはルース神父に目配せを送る。
それを受けて青年は手を合わせて皆に目を向ける。
子供達もそれを真似て手を合わせ、待ち切れないとでもいうような目を青年に返す。
ルース神父は笑って、いつものように声を出す。

「頂きます」

いただきます、という元気のいい声の群れがそれに続き、食器の音と皆が話す声が聖堂内に響き渡る。
それを眺めるミシェルは柔らかな笑みを浮かべて、女の子の話を聞いている。
ウェルトも話しかけられたことに笑いながら答えつつ食事を進めている。
その様子をルース神父が眺めて微笑む。
それがここの食事の風景。
子供の笑い声が絶えない場所で行われる食事は、やはり明るい声が支配する。
ふとウェルトが会話を止めて、その光景を見回すようにして眺める。
その顔には僅かな影が見えたのか、ルース神父は笑いながら諭す。

「ウェルト、食事のときは笑顔、だよ?」
「……すいまない、ルース神父。考え事をしていた」

素直に謝罪して苦笑を見せるウェルトに優しく笑いかけるルース神父。
彼が神父と呼ばれているのは敬虔な教徒だからというわけではない。
現在、教会というものが置かれている立場というものは低い。
その理由として、数年前に教会の本元に属する大教主が寄付金を着服していたこと、それが発覚した後に各地に点在する教会でも同じようなことが起こっているということが芋づる式に判明したことが原因だ。
立場の低くなる教会、運営するために点在する教会すら手放すこととなった彼らだが、プライドというものを守りたかったらしく、孤児院とすることによる買い取りのみを許可し、買いとった人間や孤児院で働く人間に神父やシスターといった職業名を与えるということになった。
そして現在大半の神父やシスターは地域に密着した人々ということで地域住人から信頼を得、逆に教会買い取り資金を再び着服しようとした教会の大本に対する信用は下がってしまう結果になってしまった。

「なぁなぁウェルト兄ちゃん」
「ん、なんだ?」

神父に言われてから黙々と食事を進めていたウェルトに隣に座っている男の子が話しかける。
そちらへと振りむいたウェルトの視界に入るのは銀。
子供の持つ銀髪を視界に収めてからそのまま下に視線をずらせば、そこには活発で好奇心が深そうな赤色の瞳。
その外見故に孤児となった男の子だが、そんなことは感じさせないほどに明るく元気が良い。
ヴェルという名の少年は目を見つめ返して問う。

「今日もいくのか?」
「……ああ、天気がいいしな」

ウェルトはステンドグラスの透明な部分から空を覗いてから答え、スープをスプーンで啜る。
味に満足しているのか、パンとスープの減りが他の子供よりも早い。
ただ単純に、この中で上から二番目に年を食っているからということもあるかもしれないが。

「だったら俺もつれてってくれよ」
「駄目だ」
「何でだよ!」

ヴェルの言葉に即座に返答するウェルト。
その顔はいつものような柔らかいものではなく、厳しいものだった。
それを見たヴェルは反射的に言い返した後に押し黙る。
ウェルトを見つめる目は、きちんとした理由を聞かない限りは引かないという意思が込められている。
それを察した故、尋ねられた少年は少し考えてから口を開く。

「そうだな。まず第一に危険すぎる。第二に体がまだしっかりと作られてねえ。第三に魔法に関する知識も足りない。第四に……お前以外に誰があいつらの面倒を見るんだ?」

言って目を向けるのは子供達の中で一番の年下二人。
フォルとリムという名を持つ最近五歳になったばかりの少女二人の面倒はヴェルが見ている。
何故ならば、ミシェルは家事をしなければならないし、ルース神父も薬師として活動している以上仕事の時間が必要となる。
ウェルトも、15歳以上は労働の責務を背負わなくてはいけないという規則上ハンターとして登録してある。
そして登録してある以上、働かなくてはならないのだ。

「う……」

気まずそうな顔をしたヴェルを見て、ウェルトは笑い頭を撫でながら諭す。
それを見ていたルース神父の笑みは深まっていたのだが、先ほどとは違い誰もそれには気がつかなかった。

「大方、稼ぎ手が増えれば楽になる。とでも思ったんだろうけどな? 俺がこうして働けるのはお前らがそれぞれの仕事をしているからなんだぞ?」
「仕事?」
「ああ、ルース神父は皆に勉強を教えているし、ミシェルは家事全般。ヴェルは小さい子たちの面倒を見ているだろ? ……本当は、俺がこんなことをせずに子供の面倒を見て、ヴェルには遊んでいてほしいんだが……そうもいかないのが辛いところだ。俺がもう少しうまくやれればいいんだけどな」

そう言ってウェルトは苦笑する。
ヴェルも分かっている、生きるためには金が必要になることは。
そして、それを稼ぐためにウェルトが手を尽くしていることも。
だからこそヴェルは笑いを返して頷いた。

「……うん、わかったよウェルト兄ちゃん」
「ま、ヴェルがもっと大きくなって勉強もできるようになったら色々教えてやんよ」

その言葉にヴェルは苦い顔をしたが、ウェルトは笑って、苦手でも勉強はしろよと頭を撫でた。
撫でられてこそばゆいのか、くすぐったそうににしながらも少年は笑顔を見せる。
それを見てウェルトは少年の未来を憂うような、それでいてどこか狂気を孕んだ光を目に宿し、呟く。

「……教えたくないこともあるけどな」
「ん、何か言った? ウェルト兄ちゃん」
「いいや、なにも?」

ウェルトはつい口を衝いて出た言葉に驚き、誤魔化すように笑って答えた。
だが、内心上手く笑えているかどうか不安だがそれを押し殺す。
自分がそんな顔をしてはいけない、そう思い笑顔を形作る。
その一部始終を見たのは一人の少女と一人の神父。
心配そうな顔をする二人に大丈夫だ、というように笑みを返すと再び食事に取り掛かった。

スプーンを動かすウェルトは、どこか何かを内に収めようとしているように少女と神父の目に映った。

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狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




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