軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

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というわけで一気にその2とその3の同時上げです。

こっちはその3ですので、読む際はお気を付け下さい。

此方もかなり、読み難いです。
次章からは読みやすい形式になるとは思うんですけど……。


※注意事項

刃魔シリーズは一応私が著作権を持っていますので転載とかは勝手にしちゃだめですよ。
……する人なんていないだろうけど。
この物語はフィクションです、どう見ても。
狩咲の妄想とか満載でもよければどうぞ。
今回はしょっぱなから厨二っぽいので苦手な人はごめんなさい!





食後二人が来たのはギルドに備え付けられている広場。
申請すれば模擬戦がいつでもできるこの施設、大抵は腕試しに来た旅人が使うのだが、ウェルトとルーヴェは時折こうして模擬戦を行っている。
ただ広いスペースの片隅では邪魔にならないようにフィルが椅子に座って見学している。

「じゃ、魔法ありでやるか?」
「うん。分が悪いとは思うけどね、ウェルトが」
「だろうよ。……付加詠唱ありでいいか?」
「無きゃまともに戦えないでしょ?」
「恥ずかしながら、な」

確認を取った後に構える。
一見力のないだらりとした自然体に近いそれはルーヴェにとって見慣れたもので、いつもならば頼もしくすら見えるのだが今は違う。
呑まれそうな、すぐにでもその腕が自分の頭を掴む、そのような感覚が襲う。
ウェルトもルーヴェの下段の構えは見慣れたもので、隣にある時は頼もしいものだった。
しかし、相対する今となっては刃が貪欲にこちらの首を狙っているように見えてしまう。

「なんだ、やる気十二分じゃねえか」
「そっちこそ、面倒くさそうにしてるけどやる気はあるみたいだよね?」
「そこそこな?」

その一言を皮切りに、駆けだす。
両腕の白銀を掲げ、地面を力強く蹴るその姿は獅子。
襲いかかられる方から見れば、その白銀は美しい輝きを放ちながらこちらを噛みちぎらんとする牙。
厄介なのは、その牙を掠めただけでも被害が出てしまうということ。
それらすべてを理解し、襲いかかられた獲物は同じく白銀を振るう為に前に一歩踏み出す。
否、獲物ではない。
彼は勇者、剣を携え試練に打ち勝とうとする者。
故に気押されることなく自らの牙を振るい放つ。

「っ!」

白銀と白銀が、牙と牙が重なり合う音が響く。
それと同時に両者にはそれ相応の衝撃が腕に伝わるが、武器の性質上ウェルトの方が立て直しが速い。
右の拳を受けられたとの判断を下した時にはもうすでに左腕に指令を出して、迎撃の態勢にもって行こうとする。
だが、そこは知と剣を持つ者とも呼ばれるルーヴェ。
先を読み、相手がこちらを押した勢いを利用して後ろに下がることでその拳を避ける。
そのまま隙だらけとなったウェルトに銀を閃かせる。
しかし、ウェルトも左腕を薙いだ勢いのまま腕を引いて回り、その剣の横に裏拳を放つ。
銀を銀で撃ち返し、体勢を戻し、さらに一歩間合いを詰めようとする。
が、ルーヴェの放った前蹴りの為に詰めることはできず後ろに跳び下がった。
両者の間は剣の間合いよりも広く、拳の間合いよりは格段に広い。
二人は息をついて再び構え直す。
互いに一打も入れられず、息も乱れていない。

「……全く、やりにくいな。武器を壊そうとしても、魔力通してるからできねえし」
「こっちの台詞だよ。総魔力に気をつけていないと、すぐさまアンカーを撃ち込まれちゃうからね」

互いに言葉を交わし、再び駆けだす。
示し合わせたわけでもないはずのそれは全くの同時。
それでも、付加詠唱により身体能力が強化されているウェルトの方が速い。
勢いを全てのせて放たれる白銀の弾丸。
剣で受ければ剣が悲鳴を挙げそうなそれを剣で受け流すことで避け、不利であるはずの間合いに自らの体を差し入れる。
そしてそのまま体当たりを仕掛けるルーヴェ。

「吹き飛べ!」

短い詠唱。
自らの体当たりが持つ『衝撃』のイメージを乗せて放たれた風魔法は詠唱通りウェルトを吹き飛ばす。
間合いが広がった上に、体勢を崩されて苦い顔をするウェルトにさらに追撃が入る。

「斬り裂け! 切り落とせ! 切り刻め!」

三つの詠唱。
剣を振るイメージを乗せられたそれは三つの風の刃となって放たれる。
詠唱の短さからそう長い間合いにまでは届かないと判断したウェルトは、あえて風の刃の間に身を滑らせて間合いを詰めようと歩を進める。
自分がさらに間合いを開けるのを相手は狙っている、そう判断したからこその行動。
が、ウェルトは三歩ほど走ったところでその考えを悔いる。

「叩き落とせ、叩き斬り裂け!」

剣を振り下ろしながらされた詠唱が、ウェルトの頭上から風の刃の塊を落とす。
上からの圧力攻撃は相手の行動を制限できる上に威力も高いとされている。
だが、相手の行動が先に読めないと当たりにくいという欠点も存在する。
しかし風の刃を潜り抜ける必要がある以上、ウェルトの走るルートは限定されており、走るルートさえ分かれば先読みすることも簡単となる。

「ちっ!」

舌打ちしたウェルトはそれを前に突き進むことで避けようとするが、そこには既にルーヴェが剣を構えてこちらに向かってきている。
追い詰められての行動と、それを迎え撃つのであればどちらが有利か。
それでも、追い詰められた方は行動を起こさなければならない。
ウェルトは足を地面に叩きつけるように走り出す。
右腕を大きく振りかぶり、再び走る勢いと共に叩きつけようとする。
対するルーヴェは剣を隙無く構え、再び受け流そうとしている。

「はっ!」

白銀の弾丸が気合とともに撃ち出される。
右腕は上から振り下ろすようにルーヴェの腹を狙っていたが、剣によりその軌道は大きく逸らされる。
ルーヴェの右わき腹を通過していく腕。
体勢を崩すウェルト。
受け流しに使った剣を引き戻してその背を斬ろうと剣を振り下ろすルーヴェ。
しかし、その動作は鋭い痛みと共に遅れることとなる。
その結果を引き寄せたのは、腕の上に現われて直撃した黒い金属のイガ。
密度が高いとされる金属で作られたそれは小さいながらも中々の重量を持っていた、当たれば腕がぶれ、突き刺さる程度には。
それでも剣を引きもどそうとするルーヴェに対し、腕を振った勢いを利用して回転しつつ右足だけで飛び上がるウェルト。
ルーヴェが剣を引き戻す前に左肘が顔面に突き刺さった。

「ぐっ……!」

体勢を崩したルーヴェに向かい、そのまま止めとばかりに一回転して右後ろ回し蹴りを叩き込む。
それは見事にルーヴェの手を捕らえて剣を吹き飛ばさせた。
そしてルーヴェの目の前にはウェルトの左足。

「勝負ありだな」
「……鉄イガ、痛いんだけど」

格好つけて言ったウェルトに対して、涙目になりながら抗議するルーヴェ。
それに僅かにバツの悪そうな顔をして左足を下ろす。

「痛くなければ意味がねえだろ? というか俺の魔法の射程知ってるんだから、近接挑むなよ。最後に風の刃撃ってこられたらどうにもならなかったぞ?」
「あの時詠唱分の時間与えたら、絶対にそっちが有利な状況で近接に持ち込まれてたよ」
「いやいや、流石に超過付加無しだったからそこまでは行かねえよ」
「有りなら負けてた、ならばどちらにしろ負けだったよ」

模擬戦が終わったのを見てフィルが駆け寄る。
二人の会話が彼女に聞こえる、その前に。

「いつか、本気でやってみたいもんだな」
「……いつか、ね」

そんな約束が、二人の男の間に立てられていた。






ギルドでの模擬戦が終わった後、ウェルトの提案によりルーヴェもフィルも教会に泊まることとなった。
実は資金援助をこの二人からも得ているので恩人ということになるわけで、礼と称してこういう事をしている。
二人が賛同し、教会へと向かう途中に近道をするためにと裏路地に入る。
治安は確かに良くはないが、気をつけてさえいればどうということはない……が。

「……あれか、こういうのはどこぞの虫みたいに一人見つけたら五十ぐらいいるのか?」
「最低でも十は居たみたいだね?」

二人の少年が、倒れ伏した十人の青年に囲まれて佇んでいる。
こうなった理由はいたって単純。
青年が三人ぐらいで一人の少女に絡んでいるのを見ていられなかったルーヴェが一人剣で殴り倒し、仕方がないと後に出てきたウェルトがまた一人、フィルはウェルトが一人を倒す間に一人の青年を蹴り倒して既に少女を保護していた。
そして倒された青年が助けを呼び、助けに入ったのが七人。
ウェルトはストレス発散を兼ねて、ルーヴェは助けに入ったのだからと全員殴り倒した。
その結果がこの光景である。

「模擬戦後で疲れてるんだがな」
「その割には二人とも動きがよかった気がするんだけど?」
「気のせいだろ?」
「特にウェルトは生き生きとしていた気がするんだけど?」
「……気のせいだ」

フィルとウェルトの二人がそんなやり取りをしている間、ルーヴェは保護された少女と対話していた。
顔立ちが整い、物腰も柔らかい彼が話した方がいいと判断したからだが……。

「いやまぁ、フィルが話せばよかったんだろうけどなぁ」
「……対女の子ならルーヴェぶつけた方がいいよ」

無意識の優しさ、そういうものがにじみ出ているルーヴェだからこそ。
こういう役回りは彼が担当することとなる。
解ってはいても、感情はどうにもならずに少女は若干不機嫌な声音でウェルトにぼやく。

「まぁ、それがルーヴェのいいところなんだけど」
「まぁな。アイツの優しさは無意識で自身を犠牲にするやつだ。……だから、俺みたいな人間も絆される、見ていられなくなる」

最後のウェルトの言葉に込められた感情。
それがいつもと違うことに気がついて、少女は少年の顔を見る。
少年は俺らしくないな、と言って笑って視線を戻し、少女を伴ってこちらに歩いてくる親友に声をかける。

「お、ルーヴェ。終わったか?」
「ううん、とりあえずまだ混乱しているみたいだから騎士に渡そうと思って」
「げ……騎士か。なら俺は先に行ってるからお前ら二人は後で教会に来いよ?」

苦々しい顔を見せてからウェルトは早足気味に去っていく。
それを見送る二人は苦笑して、少女を連れて騎士団の建物へと向かった。




「というわけで、ルーヴェとフィルが来るぞ」

一足先に教会に戻ったウェルトは、戻るなりそんなことを言い放つ。
それを理解した子供達は歓声。
二人はウェルトの友人ということもあり遊んでもらったりと交流が多く懐いているからこその歓声。
だがその中でぽかんと口を開けている少女が一人。

「え、えっと……来るの?」
「ああ、俺が呼んだ。問題ないだろ? 神父」
「ええ、大丈夫ですよ」

少年と神父のやり取りを聞かずに慌てだすミシェル。
それを見て少年は苦笑する。

「お前は……好きな男が来ることにいちいちそう反応してたら体も心も持たねえだろうに。今回で何度目だ?」
「いやだってだってだってぇっ!?」
「いやまぁ、男に免疫ないから致し方ないにしてもせめて落ち着け。毎度毎度俺が宥めるとか冗談じゃねぇぞ……」
「は、はうぅ……」

ぷしゅうと空気の抜け出る音が聞こえそうなミシェルを横目に、ウェルトは着々と迎える準備をする。
結局、ミシェルが我に返ったのは二人が訪れるその時になってからだった。





「……何でこう、一度覚悟決めると平常になるのに前はあんな風に慌てるんかねぇ?」

和気藹々と話す三人を眺めて呟くウェルト。
その手には紅茶の入ったカップが握られており、湯気が立っている。
他の子供達はとっくに夢の中へと誘われている。
この場に居るのは神父と少女二人に少年二人。

「女は強い、ってことじゃないですかね?」
「ルース神父、それ笑えないんですが?」

答える神父に、げんなりとした顔で返すウェルト。
紅茶を啜って、苦々しく言葉を続ける。

「今日の朝も人の部屋のドアぶっ壊してくれやがって……何度怒られたら気が済むんだ」
「それでも、彼女は嬉しいんだと思いますよ。そうやって怒ってくれるということも」

神父は笑う。
何か遠くを見るような目で。

「彼女はあの体質……『力に祝福された者』です。小さいころから辛い目に遭ってきたことはわかるでしょう?」
「……人の態度は、簡単に変わるからな」

ふん、と鼻をならしカップの紅茶を飲むウェルト。

「でも、貴方は変わらなかった」
「……」
「本当、貴方には驚かされます。何物にも影響されず、ただ、あるがままでいられるということに」
「別に、そんなこと大したことじゃねえ……」

紅茶を飲み、会話をする少年と青年。
それからの無言の時間、二人は紅茶を飲み、教会内の光景……少女達と少年の会話を眺め続けていた。
と、カップを空にしたウェルトが立ちあがる。

「さて、俺は寝る。あいつ等は……あの調子じゃしばらくは起きてるだろうな」
「大丈夫ですよ。私も少しやらないといけないことがありますから」
「……すまないな。俺が手伝えればいいんだが」
「いいえ、ウェルトさん達が資金を入れてくれてるから助かってますよ。設備を一新することもできましたからね……本当にありがとうございます」
「ここにいる以上、やるべきことを見つけてやっているだけだ。礼なんていらないさ」

ウェルトはそう言って、自分の部屋のある離れへと向かっていく。
それを見送るのは、今は一人。
少年は振りかえらずに離れへと続くドアの向こう側へと姿を隠した。







「あるがまま……か」

夜。
教会の離れ、その屋根の上に上った少年が呟く。

「今でこそまだなんとか、だが……」

自身の手を星空に翳し、笑う。

「どうなるかね……親友を裏切りたくはないから、頑張れるところまで、やってみるけれどな」

その決意は、夜の風に紛れてどこかへと消えて行った。



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狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




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