軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

31日に一気に更新すると言ったが、すまんありゃうそだtt(ry

遅ればせながら第一章その4です。
ぶっちゃけ色々書くことが多すぎて解かりにくくなっているかも……。
後々第一章だけ書き直しということもあり得そうです、ごめんなさい。

色々伏線ばかり張っていますが、その殆どは第一章の最後で回収する予定です。
とはいいつつも、最低でもその8あたりまでは行きそうです。
そう長い物語ではないんですけどね、刃魔自体。


次の次あたりがクライマックスになるかもしれません。




※注意事項

刃魔シリーズは一応私が著作権を持っていますので転載とかは勝手にしちゃだめですよ。
……する人なんていないだろうけど。
この物語はフィクションです、どう見ても。
狩咲の妄想とか満載でもよければどうぞ。
一部過激な表現があるかもしれませんのでご注意を。








夕刻。
夕飯の直前にウェルトは孤児院へと帰ってこれた。
だが本当の本当に夕飯直前だった為、ミシェルから説教を受ける羽目になった。
これで怪我の一つでもして居れば心配して免除されたのだろうが、傍目に怪我ひとつない状態なのでそんなことも無く。
つまるところ、ウェルトは今現在正座させられていた。

「……何で俺がこんな目に」
「食事の準備さぼったこと、勝手に単独行動したことをそこで反省しなさい」
「前者は結果的にそうなったことだから反省のしようがあるが、後者は反省の必要がないな」

全く反省の色がないウェルトにミシェルはため息一つ。
さも呆れたと言わんばかりの声を漏らす。

「人に心配掛けといてその台詞?」
「逆に聞くが心配するようなことか? この俺がそう簡単にくたばると思ってんのか? 勝算も無しに一人で行くような愚図だとでも思ったか? 馬鹿が」

口では不遜な態度ではあるが、正座はきちんと続けている。
内心は反省しているのだろうと、ルーヴェは表に笑みを見せることなく笑う。
しかし、ミシェルは顔を赤くしてウェルトを睨みつけ続ける。

「全く、心配して損したっ!」
「まぁ、もうそのへんにしてあげたらー? ……何回言っても絶対反省しないよ?」
「わかってるじゃねえか、フィル」
「短い付き合いとはいえ解るよ、キミの性格はね?」

フィルの言葉にウェルトはにっと笑うと、自分の事を笑っているヴェルに駆け寄ってその頭を右手で掴む。
もちろん籠手は外されている。

「で、お前はいつまで笑っている心算だ? ヴェル?」

そう言って力を込める。
付加詠唱状態も解除されているので全力でも遊びの範疇……に入るかは危ういので手加減はしてある。

「痛い痛い痛いっ! な、なんで俺だけなんだよっ!? 他の奴らも笑っていただろ!?」
「いやな、流石にミイとかにアイアンクローをかますのは、良心が痛んでな?」
「ウェルト兄にそんなもんがあるわけ……痛い痛い痛いっ!?」
「あっはっは、まるで俺が人でなしみたいな言い方じゃねえか、失礼な」

その様子を尻目にミシェルはフィルと一緒に配膳をしている。
他の子供達はヴェルの悲鳴を聞きながら笑って食卓についている。
ルース神父はその様子を、何時ものように眩しい物を見るかのような目で、ずっと見つめていた。









夕食後、夜も更けてきたころ。
ルーヴェはフィル、ミシェル、ウェルト、そしてアテリアをウェルトの部屋に呼んだ。
そして今、全員床に座り込んで円を作っている。

「……なぁ、部屋主に許可取らずに呼ぶってなんだよ?」
「僕とウェルトの仲でしょ? 大目に見てよこのぐらい」
「まぁ、いいけどよ」

そんな応酬の後、ふとルーヴェは顔を真剣なものに変える。

「で、ウェルト。『言わなきゃいけないこと』と『言いたいこと』、全てを聞こうか?」

放たれた言葉。
それを切欠に、ルーヴェはこの部屋全てを支配する。
威圧、それに近いものがルーヴェから静かに放たれていた。
普段は柔らかい雰囲気を纏った彼。
その雰囲気が支配者が纏うようなそれに代わりウェルトに向けられる。

「親友、そこまで鋭いと俺は本気で危険を感じるんだが? 後顔つきと雰囲気が違いすぎる、ミシェルとフィルが中てられてるぞ」

ふとルーヴェがその二人を見ると、二人は揃って顔を背けた。
普段と今の落差、というものに魅せられていたらしく二人とも顔が赤い。
けれど、ルーヴェはそれに気が付かず怖がらせてしまったのだと思い申し訳なさそうに苦笑する。

「あはは……怖がらせちゃったかな」
「いや、ぜんぜん!」
「そんなことない!」

ミシェルとフィルが同時に答え、途端にウェルトが腹を抱えて笑い出す。
アテリアとルーヴェは何故笑っているのか理解できないと言った顔で首を傾げる。

「くくく……手前ら素直に言っちまえよ。惚れ直した、ってなぁ?」
「ウェルト!」
「……月のない夜には気をつけようねー?」

抗議する少女は二人とも顔は赤いまま、されどミシェルの拳は固く握りしめられており、フィルも何やら暗器のしまってある懐に手が伸びている。
それを確認したウェルトは頃合いかと思い、話を次へと進める。

「おお、怖え怖え……。ま、悪ふざけもこの程度にしてそろそろ話すかね。……覚悟しとけよ、親友」

ウェルトが軽くルーヴェを睨む。
ルーヴェもまた、ウェルトを睨み返す。
まるで二人が敵同士であるかのような雰囲気を、他の三人は感じていた。

「一体何のさ?」
「手前が俺以上に怒りに駆られない様な覚悟だ。怒りに任せるのは俺で、お前がそれを止める役目だろ?」
「……わかったよ、頑張ってみるさ」

ウェルトはその答えを確認すると、アテリアに目を向ける。
何事かわからなかった少女だが、その表情と目が真剣なことからこれからの事が自分に関わる重大なことだと理解する。

「アテリア」
「……うん」
「今から言う事は、お前の過去に関する物だ」
「……っ!」

失われた自分の過去。
それがそこにあると言われアテリアは身を乗り出す。
だがそれが途中で止まったのは、ウェルトの真剣な顔に僅かな悲しみとそれを押し潰すような怒りが見て取れたから。

「在り来たりな言葉で吐く事すら嫌だがな……その過去が決していいものとは限らない。いや、敢えて言おうか。お前の過去は普通に生まれ普通に生きたものじゃねえ。最悪にして最低だ。九割の人間は悲観して自暴自棄になること請け合いだ。それでも、そんなものでも知りたいと思うならここに居ろ。そうじゃねえなら直に部屋に戻って今日あったことは無理矢理にでも忘れろ」

ウェルトはそう言って静かに目を瞑る。
ミシェルとフィルはそんな彼に何か言おうと立ち上がろうとするが、それをルーヴェは視線だけで止める。
言葉を受け止めたアテリアは暫し考え込み、頭を縦に振った。

「大丈夫なのか?」
「……うん、でもこれは、私が知らなきゃいけないことだと思うから。だから、怖いけど、現実から、事実から、逃げたく……ない」

確りとウェルトにその緑の双眸を向けてアテリアはさらに言葉を続ける。

「皆、私と会って数日なのに家族みたいに接してくれてる。ウェルトさんも、私が真っ当な人間じゃないって知ってもそうやって逃げ道を残してくれてる。私の為に危険に身をさらしていることも知っている。だけど、ここで逃げたら多分その優しさを、皆を裏切ることになる気がする。……皆に甘えてばかりだから、だから……ここでまで甘えたくない!」

そうして、口を確りと閉じる少女。
その目には不安と恐怖、そして確固たる意志を相手に伝えようとする光。
受け止めた少年は、口端を持ち上げて、笑った。

「いい、決意だ。なら話すとするか。俺が知ったことを。……ミシェルもフィルも、これを聞けば俺やルーヴェは容赦なくお前等を巻き込むぞ。文句は言うな、弱音を吐くな、諦めるな。以上の覚悟ができないなら、ここから出てけ」
「随分とアテリアに対するより言葉に優しさが無いね?」
「差別だ、差別ー!」
「……で、答えは?」

文句を黙殺したウェルトの言葉に、少女二人は笑う。

「私が何のためにああやって決意したと思うの? ここで降りたら……私の決意が無駄になる」
「私だってキミ達とトリオ組んでいるわけですし? 仲間外れって言うのは勘弁してほしいねー?」

それぞれの言葉にやれやれとウェルトはため息を漏らす。

「ルーヴェ、どうやらここには馬鹿とお人好しといい女しか居ねえみたいだ」
「……敢えて誰が誰とは聞かないよ?」
「いい判断だ」

ウェルトは口端を幽かに持ち上げて、背後から数枚の紙を取り出す。
それに注目した四人を見まわし、口を開く。

「これは、とある貴族の館から拝借したものでな。……人の体の一部と魔族を組み合わせることで強化した人を作り出そうっつー研究の書類だ」
「……もしかして、つくられたのが、私?」

アテリアの言葉にウェルトは静かに頷いた後、言葉を続ける。

「魔物と人、とは言え元々人の部分を多めに使ったらしい。組み合わせた結果、魔物のパーツは人間のそれと同化した、とある。……一人目の被験者は、自分の身に起きた事実を悟ると途端に発狂したらしいが」
「……おかしい、魔物はそれだけで列記とした生物のはずだよ。変化するなんてことあり得ない」
「ああ、ここで言う『魔物』は俺らが普段相手にしている生き物じゃねえ。……動物や人の形を模した、真っ黒な形をした存在だ」

それを聞いてルーヴェは自分の疑問が解決されたと同時、驚愕にその目を開かせる。
ウェルトの言葉が何を意味するかわからない三人は、ただ顔を見合わせるばかり。
三人の様子を見てウェルトは補足説明を始める。

「お前らは知らないだろうが、俺は放浪しててな? 各地の伝承をいくつか知ってる。そのうちの一つがさっき言った黒い獣……真に魔と呼ばれる物だ。生まれたその瞬間から何かを破壊する衝動を持っている獣。その体は黒く、ある程度破壊しなければ幾らでも再生をする。そして完全に死んだそれは、黒い霧となって消える」
「その体は……黒い塊」

深刻そうな顔の二人。
他の二人もそれを聞いてただ事ではないという事を察し、一人は不安にその体を震わせる。

「なら……私もいつか、破壊の衝動を……」
「ああ、その心配はいらねえ。あれはこの世界にきちんとした形を得られずに出て来た不安定なもんでな。その体にある核と離れた部分は普通なら崩壊する。だが、そうやって人に移植された場合その部分は本当に『人』と同じ部分になろうとする性質があるんだよ……とは言っても、人のそれより出力は上がるがな」
「そう、なんだ」
「やけに詳しいね、ウェルト?」

アテリアが安堵したような溜息を吐いて言葉を漏らす。
それを見計らって今度はフィルがウェルトへと言葉を投げる。
だがその語気は少々鋭い。

「ったく、妙な勘繰りをするんじゃねぇよ。別に昔こんな馬鹿な事をやっていた訳もねえ。ただ、同じことをやっていた馬鹿と、この黒い魔物との交戦経験があるだけだ」
「……なら、普通の人間に戻る方法も知ってるってこと?」

ミシェルの言葉、それは希望にすがろうとする様なものだった。
自分の力が忌避され続けていた彼女だからこそ、同じ道を歩んでほしくないという思いが強くその言葉が出てしまった。
が、帰ってくるのはそれを否定する言葉。

「戻ったところで肉塊だ。何しろ、人の部分は一部なんだからな。それに、アテリアがミシェルみたいな過去を背負う訳ないだろ? ……俺等が、居るんだぜ?」

その言葉にミシェルが胸を撫で下ろし笑う。
確認したところでウェルトが話を続ける。

「さて、話が見事に脱線しちまったが、戻すぞ。とりあえずアテリアは黒い魔物の一部を移植された人間ってところまではいいな? 次に作り出した理由だが、どうにも馬鹿らしいが邪神って奴を宿らせようと思ったらしい」

邪神。
その言葉を聞いた三人が呆然と、残りの一人は小首を傾げる。

「邪神って、私が読んであげる絵本とかに出てくる?」

自分が子供たちに読ませている絵本の内容を思い出してミシェルが疑問を口にする。
絵本の中に出てくる邪神はただ人恋しいだけの悪戯好きな性格だった為、違うだろうとは思っていたが。

「さぁな? 少なくとも本人はそう信じていたみてえだが。ここで重要なのは邪神っつーいるのかいねえのかわからねえ存在のことじゃなくて、別の存在をアテリアに宿らせようとしていたことの方だ」

馬鹿な事を考えるなぁ、と緩んだ空気を一喝するようにウェルトは語気を強める。
その理由が、空気を戻すという狙い以外にもあることに気がついたルーヴェは僅かに目を伏せた。
それに気が付きながらも、ウェルトは言葉を続ける。

「方法は、何も知らない、何もわからない状態にしておいた人間相手に魂の交換をやらかすってところらしい。その状態にしておけば魂交換の魔法が成功しやすいってところだからだろう」
「って、ちょっと!? そんな魔法あるの?」
「……あるよ。古代魔法の一つ『魂魄』。抵抗されれば失敗するけど、人格から記憶から一切合財を交換することができる。また、無生物に自分の魂と記憶を入れることもできるよ」

思わず叫んだミシェルに、ルーヴェが淡々と答える。
フィルはそんなルーヴェを心配そうな眼で見つめていた。

「で、アテリア。もう一つ聞かせてもらうが……お前はその訳のわからん邪神にその体を譲りたいか?」

ここまでの事実を述べた少年は少女に問う。
お前が生まれた世界は醜く、お前も真っ当な生まれではないが。
生きたいのか、と。
言葉にはしないが、彼の目は真っ直ぐに彼女の目に向いていた。

「……嫌、絶対。私は生きたい、生きてやりたいことが、あるから」

少女は何かを堪えるようにしながらも、少年を見返した。

「了解、その言葉が聞けりゃ十分だ」

対して少年は。
口端を持ち上げて不敵に笑って返した。

「というわけだ。手前等、変態呪術師貴族が襲ってくるが……護るぞ」

そして彼は自らが信頼する仲間を見まわす。
ここにきてそれに異論を唱える人間は居らず、ただ静かな怒りと決意を胸に宿すのみ。

「全く、珍しく乗り気だね? ウェルト」
「私も決めて早々に大変なことに巻き込まれて気がするよ」
「ま、嫌でも慣れるよー?」

三者三様の答えを聞いて、ウェルトは笑みを深めていた。






深夜。
少女は一人、月を見上げる。
その横顔は栗色の長い髪に隠れていたが、それを見ていた少年にはどこか怯えているように見えた。

「夜風に当たりすぎると風邪をひくぞ……アテリア」

とはいえ、それをどうにか出来る案が思いつかず、彼は自分の役目を果たそうとする。

「……ウェルト、さん?」
「ああ、まだちょっとばかり話していないことがあってな。ま、その前に一つ確認しねえといけねえみたいだが……」

知ってしまった者の権利として、義務として。
伝えるべきことをその手に握った少年は、確信を含んだ声で、問う。

「お前、前の記憶……一般常識以外も少しだけ残ってるだろ?」

その言葉にはっとした顔を少女は少年に向ける。
少年は、幽かに笑っていた。

「……どうして」
「言っただろ、同じようなこと考えた馬鹿と交戦経験があるってよ。投薬記録、そして薬の強さから考えてまだ残ってると思ってな」
「……私に残っているのは、断片的な記憶。母さんに手を引かれて、逃げた記憶と……」
「あー、無理に思い出すな。言いたくないだろ?」

その言葉は、安心させるかのように、少女の頭に置かれた温もりと共に染み込んでいく。

「ま、だったら話は早え。これを見ておけ」

そう言って少年が差し出したのは一枚の紙。
びっしりと何かが書き込まれた紙を少女は思わず受け取って、目を大きく見開く。

「わかったろ? それは、お前の本当の名前と過去だ。一先ず勝手に見たことを謝らせてもらわないといけねえけどな……」
「……ううん、見なきゃ、わからなかったんですよね」
「それでも、見たことには変わりがねえよ」

憮然と言い返すウェルト。
それを見てアテリアは笑う。

「ふふ、以外と固いんですね?」
「んなつもりはねえんだけどな。どうやらルーヴェのがうつったらしい」

苦笑。
それが彼のよく浮かべる表情だと気が付いた少女は、それを口にする。

「そういえば、ウェルトさんって普通に笑いませんよね?」
「何だその言い方は。普通の笑いってなんだ?」
「いえ、なんというか……何時も笑う時は口端を片方だけ釣り上げて笑うか、そうやって苦々しく笑うだけだったとおもったので……」
「お前、探偵か何かになった方がいいんじゃねぇか? ミシェルもフィルにも気付かれてねえのによく気が付いたな」

大当たり、とでもいうように手を叩きつつ苦笑する。

「……たんてい、がどういうものかわかりませんけど。何時も私の何かを見通すような、そんな雰囲気をしていましたから、気になって見ていただけですよ」
「確かにある程度の既視感は覚えていたからな」
「それに、何か。申し訳ない、そのように思われていることも感じていましたから」
「はぁ、アテリアに見抜かれるとはなヤキが回ったか。それとも、時間が無いのか……」

深々と溜息をついて、頭を乱暴に掻く少年。
その行動は苛立ちからか、少女にはわからなかったが、今の言葉に聞き逃してはいけない言葉があることだけは解かった。

「時間が、無い?」
「……ちっ、本当にヤキが回ったな。聞かなかったことにしておけ。今回のごたごたが終わったら……皆に話す予定だからな」
「死んじゃったり、しませんよ、ね?」
「それはないと思うが。何、死んでも別に心に痛痒を感じる必要はねえよ。出会って七日も経っていない間柄だろ?」

おどける様に響いた言葉は。
その内容とは違い、少女に対する配慮があって。
少女はそれを悟っていたからこそ、何時もの無表情を崩した。

「だめですよ。皆のお兄さんなんですから、そう簡単に死んじゃいけません」

微かな微笑み。
それを見たウェルトはやれやれと苦笑する。

「安心しろ。んな心算は今のところねえ。ま、思いっきり脱線した話を戻すとだ。それを読んでこれからどうするかはお前次第、今日決めたことを覆しても構わねえ。……ただ、自分に嘘を吐く生き方はやめとけ。碌な事がねえぞ」
「……ウェルト、さんは」

言いたいことだけ言って去ろうとした少年は振り返る。
そこには、ウェルトにしっかりと目を向けた少女が居た。

「……どうして、ここまで?」

少女の言葉に苦笑を洩らした少年は、少女の頭を撫でる。

「そうだな。ルーヴェがこういう物事に首を突っ込むと、二人程心の底から笑顔になれずに心配する奴が出てくる。俺はよ、知り合いにそんな辛気臭え顔されてちゃ飯が美味く食えねえんだよ。だから、親友が笑顔になるような結末を用意してやろうとしているだけだ。ただそれだけなんだよ、俺の原動力はな?」

そう、言いたいことだけ言った少年は最後に何時もの不敵な笑みを浮かべる

「ああ、それにだ。お前がその服選んだのはつまんねーこと考えた結果だろ? 実際、孤児院の仕事はお前が一番やってくれてるしな。……ま、だからだ。頑張ってる人間にはご褒美がねえといけねえだろ?」

踵を返す少年。
その背を少女はじっと見つめていた。
それでも、少女の耳には届かなかった。

「後は、俺なりの贖罪だ。償えるとは、思えないが」

その、言葉は。



コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




(C)2008 GONZO ROSSO.K.K./HUDSON SOFT All right reserved. 株式会社ゴンゾロッソ及び株式会社ハドソンの著作権を侵害する行為は禁止されています。





この人とブロともになる

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。