軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

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連続更新。
本日は結構更新する予定。

前回、今回と戦闘シーンですが……。
次回も、戦闘シーンです。





「やれやれ、助かった。が……目的は達成できたか?」

屋敷の二階、中庭に面している廊下でウェルトとアテリアは向かい合い互いの無事を確かめる。

「ええ、研究施設と研究資料を壊してきちゃいました」
「そうか。それにしても念の為に、『呪いを中途半端に』残して正解だったな」
「……こっちはひやひやしたんですけどね」
「ああでもしなきゃ……いやまぁ手立てはあったが、俺が俺である以上使えなかったからな」

苦々しい顔をして、中庭の方へと顔を向ける。
そこには、石の塔が崩れて瓦礫となり、中庭を埋め尽くしている光景。
そして、唯一人立つ男が鬼気迫る表情で紋章詠唱をしている光景。

「……っ! まずい、外へ逃げるぞ!」
「え、は、はい!」

駆け出す二人。
アテリアが先行し、それにウェルトがついて行く。
目指すは魔法が使われても避けやすいであろう外。
だが、廊下を進みきったところで男の魔法は完成し、屋敷の至る所が爆破されていく。
結果、二人は廊下の前方と後方が爆破された為、行き場を失った。

「ちっ! アテリア! この扉をぶち壊せるか!?」
「やってみます!」

廊下の中庭側ではなく、反対にある部屋。
その扉に対して、アテリアは足で押し出すように蹴り出す。
すると扉は吹き飛び、窓を突き破って外へと飛んでいく。

「よし、丁度ベッドがあるな。アテリア、向こう側を持ってくれ」

部屋の中に入ったウェルトは、アテリアにベッドを持つように促し、自分も反対側を持つ。

「んじゃ、これを放り投げるぞ。……運よくこっちが上になることを祈ってくれ」
「運任せですか!?」
「人生にはそんな時が多々あるんだよ。それじゃ、3カウントで投げるぞ? 1、2、3!」

二人の手を離れ、破られた窓を通り外へと出たベッドは、地面に着くとその足を砕けさせながら布団の面を上にして止まった。

「よし、んじゃあれ目掛けて飛ぶぞ。最初は……俺の方がいいか」

ウェルトはそれを確認するや否や、窓から飛び降りる。
そうして上手くベッドの上へと着地をすると、振り返り爆発をし続ける屋敷を見上げる。

「アテリア、次はお前の番だぞ!」
「こ、怖いですよ!」
「怖くとも何ともやるしかねえだろうが! しゃーねぇ、いざとなったら俺が受け止めてやるからさっさと来い!」

響く爆発音と、ウェルトの声に背中を押され、アテリアは目を瞑りながら飛び降りる。
目を瞑りながらというのが災いしたのか、そのままではベッドの手前に落ちてしまう軌跡を描いてアテリアは落下する。
それを見て、ウェルトは舌打ちをするとベッドの前へと駆け出し、跳びあがる。
アテリアが足を延ばすその前に、横から掬いあげるようにその体を抱えて着地する。

「やれやれ、怖いからって目を瞑るなよ」
「ご、ごめんなさい……」

ウェルトは所謂お姫様抱っこをしつつ、爆破され続けている屋敷を見つめる。
アテリアは、現在の状況を振り返り、ウェルトの腕の中から慌てて降りる。

「お、重かったですか?」
「軽すぎる。もうちっとばかり飯を食え、飯を」

顔を赤らめる少女に対し、少年は何とでもないように返答しつつ……屋敷からは目を背けない。
アテリアは訝しげにウェルトの顔を見た後、同じく屋敷の方へと目を向ける。

「さて、アテリアは逃げた方がいいぞ。どうやら奴は……人間を止めたようだ」
「え?」
「ほう、気が付いたか?」

その声は、瓦礫の崩れる音と共に二人に届けられた。
声の持ち主は、服こそ血で染まってはいたが、あるはずの傷口は一つとしてなかった。

「それにしても、私の研究資料を燃やすとは……」
「それが妹の願いだったんでな。……兄としては協力してやろうと思うだろう?」
「くくっ……まぁいい。貴様がどうやってその娘の呪いを『消した』のか、何故貴様が今の私に気づけたのか……もうどうでもいい」

男は魔法補助用の杖を投げ捨てると、その手に生える爪を伸ばし、ウェルトに向ける。

「貴様を殺し、我が研究を完成させる! そして娘を取り戻す! 貴様等はもう、私を倒すことなど出来ぬがな!」

吸血鬼、そう呼ばれた男はにやりと笑うと。
一瞬にしてウェルトへと距離を詰めて爪の出た右手で心臓を掴み取ろうとする。

「人を、舐めるなよ?」

だが、それは。
半歩だけ体をずらしただけの少年の、右を左を掠めて空を切る。

「なっ!?」

少年は横にある体に対して、ただ足を出すだけにとどめた。
吸血鬼は自身の勢いも手伝って、盛大にその足に引っ掛かり吹っ飛んでいく。
吸血鬼の体は二、三回地面でバウンドを行うと動きを止めた。

「急所を狙うのはいいが……狙い過ぎだ」

ウェルトは言葉を放ちながら、アテリアへと目配せする。
『逃げろ』
その意を込めた視線だったが、アテリアは首を横に振り、見よう見まねの構えをすることで拒否する。

「言っとくが、自己責任だぞ?」
「一人にすると、無理と無茶を並行して行いそうで怖いんですよ」
「……信用ねえなぁ。人が態々挑発してるんだからその間に逃げて欲しかったんだけどな……」

言いながら、その口元は苦笑を形作る。
相手をするのは吸血鬼。
敵としては厄介どころか最悪の部類に入る存在。
だが。
少年に絶望は無く、少女に不安はあっても恐怖は無かった。

「く……闇よ、刻め……っ!」

倒れた男が起き上がりながら、押し殺した声で詠唱する。
その魔法は闇の魔法、吸血鬼が扱う魔法の内の一つ。
生まれるのは黒く、人一人程の大きさを持つ球体。
その球体は、触れた大地に無数の切り傷を付けながら二人に迫る。

「ちっ! 『斬る』事象の付加か……」

黒い球体の進路上から二人ともバックステップにより撤退。
しかし、そのタイミングを見て男が開いた手を握る。
次の瞬間、その球体は一気に膨らみ、二人を飲み込もうとする。

「くそっ!」
「きゃっ!?」

このままでは飲み込まれると判断した少年は。
傍らの少女を付き飛ばし。

「だから逃げろっていったろ? 義妹(いもうと)」

そう笑って。
アテリアの目の前、体に無数の切り傷を付けられ、体中から噴き出る赤い液体が地面に染みを作った。




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結界を突きぬけてくる黒い獣を手に持った剣で斬り伏せる。
その太刀筋は鮮やか、だが繰り手は肩で息をし始めている。

「はは、きりがないってこういう事をいうのかな?」

黒い魔物の壁を見ながらルーヴェは幽かに笑いを零す。
先ほどから広範囲を巻き込む二属性魔法を撃ち続け、集中力が摩耗していく。
それでも近寄るものを剣で斬り伏せ、魔法で壁を崩し続けた。
体力も、精神力も限界に近い。

「いくら一匹一匹が弱いと言っても、これだけ大量に来られると、ね!」

跳びかかってきたのを斬り伏せる。
どうやら相手もこちらが弱っていることを察したのか、先ほどから攻勢に出てきている。

「……あまり、使いたくないけれど」

目の前の壁を一掃できる程の切り札は存在する。
だけど、それは自身の魔力の多くを消費する切り札。
魔力の把握を半分以上か以下かという大雑把な単位でしかはかることができない為、それは賭けとなる。
何故ならば、今はってある結界に回す分の魔力が無くなれば……五体程度ではなく全部が押し寄せてくるのだから。

「はは、僕にもっと技量があればいいんだけどね……」

それに目の前の敵を一掃したからと言って残存する戦力がどの程度いるのかがわからない。
広範囲を攻撃できる人間がルーヴェとフィルのみの状況。
さらに言うのであれば、流石のフィルでもルーヴェ程に範囲の広い魔法を放てるわけでもない。
とはいえ、これを続けても何時しか限界が訪れる。

「もう一人、いれば、使えるんだけど……」

そう呟いた時、黒い獣の壁に異変が起きる。
壁の一角、そこに黒い煙のようなもの……多数の黒い獣が霧散したものが噴き上がる。
その光景を見て、ルーヴェは微かに笑う。

「もう一人、来てくれたみたいだね」



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「全然、減らないね」

肩で息を吐きながらミシェルがぼやく。
その両手に握る両手槌で砕いた魔物は軽く二百を超える。

「本当、こっちも切り札出してるのに……。魔法の修行さぼらなけりゃよかったよ……」

フィルも、投げた短剣は五十、放った魔法は三十から数えていない。
ミシェルが守ってくれてるのもあり、精神的には楽ではあるが、元々魔法を主に使う訳でもない為に疲れが出る。

「あはは……ねぇ、フィル。もし私に何かあったら……ルーヴェのことお願い」
「馬鹿、何言ってるの? 私達は一応恋敵(ライバル)でしょ? そんなこと頼まないの!」

弱気になったミシェルを鼓舞するように、フィルは宙に詠唱を描き、短剣を投げつける。
だが、それが終わったのを見計らい一気に五体の魔物が跳びかかる。
それを迎撃するミシェル、だが。
四匹目を叩き潰した時に、大槌がその手から滑り落ちた。

「あ……」

それに気を取られ最後の一匹の迎撃が遅れる。
狼を模したその魔物はそのまま食いちぎらんと顎をミシェルへと伸ばす。

「ミシェル!?」

フィルがそれをどうにかしようとするが、それを察知した魔物が結界を無理矢理こじ開けてフィルにも襲いかかる。
投げナイフで迎撃するも、そのせいでミシェルへと襲いかかった魔物の迎撃ができない。
思わず目を瞑ってしまうミシェル、その顎が彼女へと届く直前。


「『ストレイト』!」



響く声。
覚悟に目を瞑ったミシェルが思わず目を開けば、そこには宙に浮かぶ一本の剣とそれに縫いとめられた黒い獣。
そして。
それを成した騎士の姿。

「キル……ス?」
「ええ、助太刀に来ました。……というより、一応治安維持は騎士の仕事なんですよねぇ」

悪戯気に笑った少年騎士は、白銀の鎧を身に纏い、黒い壁の向こうから黒い獣を切り払いながらゆっくりと歩み寄る。
その背後には、十本の剣が宙に浮かんでいた。

「……それは?」
「刃の魔法、ということにしておいてください。本当は全然違いますが」

変わらず悪戯気な笑みを浮かべるキルス。
それが、彼の『本当の姿』なのだとフィルは察して苦笑する。

「さて、お二人は後ろで休んでいてください。後は僕がやります」
「そ、そういうわけにも……」
「お二人とも限界が近いでしょう? それに……」

ちらりと、ルーヴェが戦っているであろう方へと視線を向けてから、再びミシェルへと視線を戻すキルス。
その笑みを、さらに深めて。

「貴女達の騎士(ナイト)が戦い終わった時、笑顔で出迎えるのが貴女達の務めでしょう?」

背を向けた見習い騎士は、背後で二人の少女が苦笑しているのを気配で感じて自らも苦笑する。

「さて、恩ある人々の為です。……全力、出しますよ」

宙に浮かんだ十の剣が黒い壁へと刃を向けると同時、さらに三十もの剣が宙に現れる。

「『マスカレイド』」

その言葉が合図となり。
十本の剣は全て魔物を貫き、切り裂く。
役目を終えた剣はその場で溶けるように消えていく。
だが、その代わりに次の剣群が黒い壁へと向かっていく。
それをかいくぐり、意図的に開けられた結界の穴を通ってキルスへと襲いかかる黒い獣。

「あれから抜けるとはやりますね。ですが」

キルスは余裕を隠そうともせず、右手を閃かせる。
黒い獣はその身を両断され、飛びかかった姿勢のまま消えていく。

「生憎。今の私は畜生風情に破られる騎士じゃないんですよ」

口調はおどけて居たが、目だけは油断無く前を見ていた。
ふと、キルスが振りかえると、そこには壁に寄り掛かるようにして並んで休んでいる二人の姿。
フィルの肩に、ミシェルの顎がのって居る光景を見て、キルスは柔らかい笑みを零すと再び黒い獣に顔を向ける。

「さて。大事な友達から任された仕事です。友人からということもありますが……仕事は全うするのが主義なので、ね?」




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視界の端で、無数の剣が黒い壁を刺し貫いているのを収めてルーヴェは微かに笑う。

「さて、キルスが来てくれたのなら……問題は無いね」

呟き、結界の一部を一時的に完全なものにする。
消費は激しくなるが、この間だけは邪魔される訳にはいかない。
懐から一枚の札を取りだし、詠唱を開始する。

「風よ、その在り方を……」

この詠唱は決まったものではなく。
自らが毎回、毎回内容を変えて詠唱をする。
それはこの魔法の威力を高めるという理由ではなく。
ただ、それが……魔法というものの大本に近いからである。

「我が友を! 我が愛する人を! 害する者を駆逐し、我が望み叶えるものと化せ!」

確りと黒い壁を睨みつけ、ルーヴェは手に持った札を放り投げる。
ルーヴェの魔力が存分に込められたそれは、風に巻かれて噴き上がる。

「『ワール・ウインド』」

そしてルーヴェのその言葉をキーとして、札に込められた魔力は形を成す。
この札はルーヴェの研究で生まれた物。
予め紋章詠唱で使う紋章を不完全な状態で札に描き、そこに魔力を流し込む。
その状態で言語詠唱で、その詠唱を完全なものにすることで魔法を完成させる。
これを使うことで、詠唱に何十分もかかる対軍魔法であろうと、短い時間で使うことができる。
つまり、この札に込められている魔法は全て、一級の対軍魔法。

「吹き荒れろ!」

形を成した魔法は、無数の風邪の刃と化して黒い壁に降り注ぐ。
それはルーヴェの魔力を代償にしつつも止む気配も無く。
ただただ黒い壁を切り崩していった。

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狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




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