軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

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さて、そんなわけでSide Mです。
スキルの詳しいデータはキャラ紹介にて。

刃魔と違い、こっちは明確なヒロインが存在します。
そして主人公もあっちより数段強くてまともです。
……鈍感さはどっちも似たり寄ったりですが。

向こうじゃできない王道も、こっちならできるので何時か書くかも……?






誠、リーフ、正樹、美々、四人が『瑠璃茉莉』を後にし、歩を寮に向けてからしばらく。
彼らの行く手を遮る人物が、現れた。

「さてはて、『緑の巫女』……私達と一緒に来てもらおうか」

銀髪に、目元のみを覆うマスクを付けたスーツを着た男は、そう言ってその手の中にある銀の銃を向けていた。
それは脅し、明確な敵意と殺意を混ぜ合わせた空気が四人を包み込む前に。
恐怖で動けない一人を尻目に、まずは一人が行動を起こす。
影を拡大、そこから武器を二人分射出。
目の前に来た自分の得物の受け取りながら、体を銃の射線上に置く。

「おいおい、町中でやるにはちょっとアタマ足んねえんじゃねえのかぁ?」

何時ものように間延びした声を響かせながら、大島正樹はリーフを庇うように両手に握った片手用ハンマーを構える。

「同感。それに一人ってところも無謀ね?」

射出された武器……長剣を両手で構えながら小栗美々は挑発する。
そして、最後の一人は。
既に男の持っている銃を蹴り上げていた。

「っ!?」
「沈め」

そのまま高速で振り下ろされる足を男は後ろに跳んで避ける。
そして避けた先に回り込んでいた美々の一閃が男を襲う。
長剣は美しくも無慈悲に、より効率的により効果的に敵を屠る軌跡を描く。
美々の持つスキルである、『マルチスキル』。
一度見た技巧を、再現することのできるスキル。
故に今この一時、美々は剣の達人に近い能力を保持していることになる。

「くっ……話すらも聞いてもらえないようですね!」
「銃を向けてくる人に容赦も加減も必要ないわ!」

流れるような連続攻撃。
男は舌打ちすると、トン、と地面を軽く足で叩く。
すると、美々の立つ地面から垂直に打ち上げるように衝撃が襲いかかってきた。
避ける事も出来ず、宙を舞う美々の体。
だが、美々は怯えない。
それは自分が何をされたか理解していないからではなく。
理解して、それでもなお怯える必要が無かったからである。

「……っ!?」

男は驚愕に目を見開いた。
宙を、舞っていた。
少女の体ではなく。
先ほど『視認出来ない程の速度で』銃を蹴り上げた少年が、地面を蹴って少女の体を抱きかかえ。
そのままビルの壁を蹴って着地したことに。
さらに言うのであれば。
着地した瞬間に襲いかかろうとした男を、地面を『削り蹴り飛ばす』ことで礫を発生させて迎撃した事に。

「過剰な、身体能力の強化……か」
「さあな」

誠は短く答えると、そのまま己の全力で男を殴ろうとした。
だが、その拳は男に届く前に収められることになる。

「ふむ、君達はあの学校の生徒か。ならば納得できるが……」

男の前には地面で作られた壁が出現していた。
礫はそれにより受け止められる、どころか真直ぐ誠へと跳ね返っていた。
美々を放り投げるようにして手放し、その礫を避ける。
礫の先には、リーフの護衛役を務めている正樹がいるのだが、その行動に躊躇いはなかった。
そして誠と美々は再び男へと向かい。
正樹は、自分とリーフにあたりそうな礫を視認し、着ているコートを素早く脱いでそれを翻すことで絡め取り、落す。

「あ、ありがとうございます……」
「気にすんなぁ。なーんかあいつからは良くねぇ感じがするからなぁ」

怯え、申し訳なさそうなリーフに何時ものぼんやりとした口調で返す正樹。
その視線の先では、誠と美々が男に対して攻撃を仕掛けていた。
だが、二人とも波打つ地面のせいで思うように攻撃ができず、攻撃は全て出現する壁に受け止められる。
男が自分の有利を知り、口元に笑みを浮かべた頃。
衝撃音と共に、戦況が動いた。
地面を砕きながらの跳躍を行った誠は、男の上から襲いかかる。
男は笑みを消して一歩後ろに下がり、美々に対して壁での妨害を行う。
さらに誠が着地する瞬間に壁を出現させてやろうと身構える。
だが、誠はそのままビルの壁を蹴り、跳んだ先のビルの壁を蹴り、上に、下に、右へ左へ、跳ね回る。

「な……?」

視認が難しく、時に男の後ろ側にまで回る誠を追いかけるのは難しい。
何しろ。

「っ!」
「余所見なんて、させてたまるかっ!」

剣閃が男に向かって伸びる。
迎撃が間に合わないと判断した男は後ろに跳びながら地面を強く蹴る。
そして自分と美々の間に壁を作る。
一連の動作を理解した美々は、剣を投げ捨てながら叫ぶ。

「正樹!」
「あいよ」

正樹は自らの影から両手持ちのハンマーを射出。
それを片手で受け止めると、美々の方へと放り投げた。
円を描きながら飛来するそれを、美々は一度も振り返る事無くその手に収め。

「砕けろっ!」

その勢い全てを目の前にある壁に叩きつけた。
砕けた壁の向こう側、男の姿を視認した美々。
彼女は未だに宙に浮く壁の破片に向けて手に持ったハンマーをフルスイング。
指向性を持った力に従い、破片は男の方へと弾丸となって飛んでいく。
男は再び地面を靴で叩き、壁を出現させ、壁の背に手を伸ばす。
破片は壁へと当たり、真直ぐ美々へと跳ね返った。
それを下からハンマーを振り上げることで弾き上げると同時、美々は微かに笑った。

「誠!」
「っ!」

重い何かが地面に叩きつけられる音。
それが自分の体に何かがぶつかった音だと理解する前に、男の腹部へと突き刺さる足は男の体をくの字に曲げ、人体が立てるとは思えないほどの音が周囲に響く。
そのまま男の体は宙を吹き飛び、ビルの壁に叩きつけられた所で停止した。
どう見ても、男の生命が危ぶまれる状態、だが。

「……タヌキ寝入りは止めておけ」
「……油断や慢心という言葉は無いようですね」

誠の言葉に返答しながら、男は立ち上がる。
ダメージが全くないという訳ではないのか、顔を顰めている。

「俺の拳に合わせて衝撃をこっちに与えてきただろう? あれで軽減されているはずだ」
「それでも、ここまでダメージを受けているんだけどね……」

美々は攻めようと思うが、気がつく。
今のこの状況、男の背後はビルが有り、男の視界は全員を収める立ち位置にあることを。

「その余裕は、私達全員を視界に収めているから、ということね。あんたのスキル範囲は恐らく視界内、でしょう?」

溜息を付く美々。
その溜息の理由は、自分では男に追い付く前に迎撃されてしまうことが分かったからである。
ただし、あくまで自分の速度では、であって誠でならば迎撃する前に拳や蹴りを叩き込むことは可能だろう。
それでも誠は動かない。
それを訝しく思った美々は問う。

「誠、なんで追撃しないの?」
「この位置では確実に、ビルの上まで逃げられる。無機物を媒体、対象にして衝撃を操るスキルか。地面を持ち上げることすらできるとはな」

淡々と事実を述べる誠。
対して男は苦笑する。
その余裕を、一つとして隠そうとせず。

「……スキルの内容、話していないつもりなんですけどね? それに逃げ方も予想できるとは」
「必要なのは観察力と注意力だ。あと簡単に白状はするな。お前も一応仕事人の端くれだろう?」
「いえいえ、これは私なりの敬意と警告ですよ。緑島の『ガーディアン』」
「……そっちこそ、誰も知らないはずなんだが」
「だからこその警告ですよ。私『たち』にはその力がある、ということを知ってもらうためのね」
「そして狙うのは緑島の巫女、か。話には聞いていたがまさかリーフがそれだとはな」

会話の内容にリーフは不安を表情で形作り、正樹と美々は男を睨んでいた。

「それにしても……私達の計画が何かも知らずに交戦態勢ですか。嘆かわしい事です」
「知ったら協力してもらえないから、攫おうとしたのだろう」

そんなやり取りをし、男は笑って。

「それもそうですね。では、そろそろお暇させていただきましょう」

そう言ってから、足で地面を軽くたたく。
すると男の下の地面が盛り上がり、まるでエレベーターのようにして男の体はビルの上まで消えていった。

「さて、なんというか……」

誠は振り返る。
三者が真剣な表情で見つめる中。

「一矢は、報いたか」

誠は微かに、笑みを零していた。
そしてそのまま、崩れ落ちた。







遠く離れた、あるビルの上。
白い仮面を付けた銀髪の男は膝を付いて苦笑を零していた。

「やれやれ、これは向こうなりの警告ってことなんでしょうね……」

男の仮面が、砕け落ちる。
その目は、片方だけが白く透き通っていた。

「インパクトから、腕を引き戻すまで異常な速度を以てして拳を撃ちこむ、ですか。流石は『ガーディアン』と言ったところでしょう……でも」

男は、遠くどこかを睨みつけながら静かに呟く。

「邪魔は、させません」

灰色の空の下、その言葉は虚空に紛れて消えていった。


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狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




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