軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

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という訳で始まりました第二章。
かなり早くストーリーが進んでいきますが……追い付けなくなったらごめんなさい。

前章で使われたウェルトの力、そしてウェルトという存在がどういうものなのか。
この部分で語られます。

そしてこの二章は各々が動きを見せてくる章でもあります。
ウェルトが。
ルーヴェが。
ミシェルが、フィルが。
アテリアが、ヴェルが。
そして……他の人々も。

それでは、第二章 その魔法が解ける時 拙い物語ですがお楽しみいただければ幸いです。






一人の少年は空を見上げて思う。
自分の敵が多いという事を。
自分をこの世界に呼び出したあの女。
自分を操り人形にしようとしたあの女。
そして……。
もう二人。

「……ま、やるしかねえんだけどな」

自身に定められた制限時間。
それを少しでも伸ばす為、仲間に打ち明ける決意を新たにする。
せめて、そう、せめて……。
親友との約束を、彼女との約束を果たすまでの時間は欲しいと。








刃と魔法の使い方 二章「その魔法が解ける時」








「悪いな、呼び出しちまって」

ウェルトは、自分の部屋に五人の人間を集めて言葉を零す。
ミシェル、フィル、アテリア、ヴェル、ルーヴェ。
彼らの視線を集めながら、ウェルトは一息吐いて、言葉を吐く。

「俺は、お前等に言ってない事が多々ある」

一拍置いて、ウェルトは微かに笑った。
それはここまで来てしまったということへの苦笑か。
遠き故郷へ想いを馳せたが故か。
仲間に言えなかった事を打ち明ける安堵か。
それとも、自身の問題に皆を巻き込むことの罪悪感の表れか。

「何と無くは気づいていたけど? ……このタイミングで言わないといけない事なのね?」
「流石だな、フィル。ま、時間制限があるんでな。とりあえず一つ、俺はこの世界の人間じゃねえ」

それでも。
そう言いきった少年の顔は。
何時ものように、不敵な笑みを浮かべていた。

「やっぱり、ですか」

口を最初に開いたのはアテリア。
その声音は、予め予測していたことを確認したような響きだった。

「あの『名前』を聞いた時。解かりました。お兄さんは、私が元いた世界と同じ世界から来たんだって……」
「ど、どういうことよ!?」

ミシェルが叫ぶ。
それを煩いと思う訳もなく、ウェルトは説明をする。

「アテリアもまた、違う世界から来た人間ってことだ。異世界ってのは解かるだろう? 伝説にもなってるしな。さてと、これからは事細かに説明するが、確りついてきてくれよ?」

その言葉とその目は、おどけた物は一切なく、どこまでも真剣なもの。
だから、ミシェルも、フィルも、ヴェルもアテリアも、何も言葉を発すことは無かった。

「まず前提から話そうか。俺の使う古代魔法である転移だが、俺みたいに体に馴染みすぎた人間以外なら……まず普通の魔力量じゃ転移させる物と場所の距離に制限がかかる」

静かに頷く四人。
それを確認してウェルトは言葉を続ける。

「さて、ここで問題だ。ならばその魔力量が、極端に高かったら……普通の人間の三十倍っていうありえない高さなら、どこまでの物が転移できるだろうな?」
「……まさか」
「フィルは気が付いたか。答えを言うとだ、この世界の外側にある物まで転移することができるんだよ」

途中で気が付いたフィル以外の三人は、その言葉に驚きを隠せない。
異世界に通じる魔法という物は、その昔から語られている伝説に記されていた。
だが、それが『転移』の魔法であるという事が意外だった。

「ま、伝説の魔法ってことにはなってるが。蓋を開ければ転移魔法に魔力を限界以上に注ぎ込んで世界の壁すらぶち壊して道を作るだけなんだけどな」
「……言っておくと、そんなことを『だけ』とか言えるのは親友ぐらいなものだからね?」
「……ま、一先ずここまでの理解はいいか?」

ルーヴェの何か言いたげな視線を無視して、ウェルトは全員に確認を取る。
ミシェルとフィルはなんとか頷いたが、アテリアとヴェルは何が何だか解からないらしい。

「あー、俺の転移魔法は、予め魔力を込めた物を自分の手の近くに転移させる魔法だってのは解かるな? でもそんなのになったのは俺が魔法に割ける魔力が常人よりも格段に少ないせいであって、逆に魔力を大量に注ぎ込めるならもっと強力なのができるってことだ」

説明は終わり、とでも言うように手を一つ叩き。
少年は、口端を片方だけ持ち上げて笑みを作り、心底愉しそうに、言葉を続けた。

「さて、俺は最初に違う世界から来たと言ったな? ……どうやってきたと思う?」
「……っ!」

少年は笑っていた。
だが、その目と空気はどこまでも冷たく。
そしてそのまま、他の人の反応を確認など必要ないとでも言うように続ける。

「呼び出されたんだよ。この国の王女に、無理矢理な?」

はっとする四人。
彼女達は、国の王女が転移魔法の優れた使い手だと知っていた。
逆に、知らない人はこの国にはいなかった。
王族には、武芸、魔法、もしくは両方秀でている人間にはミドルネームとして、昔に存在した英雄の名を使うことになっている。
武に秀でている人間にはバルト、魔に秀でている者にはシルファニア、両方に秀でているならティルファ。
そして、王女の名前はフリージア・シルファニア・ガルフィート。
魔に秀でていた英雄、シルファニアの名をミドルネームとして保持する王女であり、その英雄の使った『異世界から英雄を呼び寄せる』魔法を使う事の出来る唯一人の人間として有名だった。

「何故その魔法が禁じられたのかも知らずに俺を呼び寄せた上、我儘を言って俺を無理矢理人形にしようとしてきやがったからな。ま、俺はアレ等を憎んでいるってところだ……『殺したくない』、そう思うほどにな」

底冷えする声で呟かれた最後の言葉。
それが空気と、そこにいる四人を凍りつかせる。
本来であれば憎しみや怒りは燃えるようなものだと表現するのが正しいだろう。
それでも、彼の怒りや憎悪は氷と表現するしかないと、ルーヴェは思っていた。

「だけどね。その怒りは本来のウェルトの物でもないんだ」
「え?」
「王女の近衛騎士にある魔法を扱える人が居てね。その人が……王都を範囲として、ウェルトの怒り、憎悪、狂気を増幅させる魔法を使ってるんだよ」

思わずウェルトを見る四人。
それに笑って少年は答える。

「そういうことだ。ま、何によ人が作りだしたものであるのなら、抑えられない道理がなんてものは、ないがな?」
「……それでも、限界は来るよね?」
「まあな」

軽い調子で語るウェルト。
だが、その内容は正しく。
彼自身が正気を失う、その時が確かに存在する事を告げていた。

「限界が来て、俺が正気を失った。その時にはちゃんと手立てはしてあるから、安心はしているけどな」

その一言でこの話は終わり、とでも言うように手を叩く少年。
だが、彼の妹分に弟分、そしてその友人はそれで納得など出来なかった。

「ちょっとまってよ! どうしてウェルトがそんなことに……」
「そうだよ! だってウェルトは何も……」
「いや、しているさ。王には宣戦布告してあるし、王女には嫌がらせに近い脅しは幾度も掛けた。……俺個人が特定されてないのは、ルーヴェが『偽の魔法』を俺に使ってるからだな。お陰で俺が『俺自身』であると認識できるのは、俺が認めた相手か、俺の『真名』を知っている存在って限定してある。だからこそ堂々と街を歩けたわけだが」
「……復讐、考えているんですか?」

アテリアによる問い。
それに対して、口端を持ち上げた何時もの笑みを浮かべて。

「俺なりの、方法でだけどな」

頷いた。
それからしばらく、漂う重苦しい空気。
それを払うかのように、何時もの調子でウェルトは言葉を紡ぐ。

「ああ、言い忘れてたけどな? さっき言った名前だが……ウェルト・アンガードってのは偽名でな? ルーヴェの名前から作らせてもらったもんだ」
「なるほど。ルー『ヴェルト』、だから?」
「そういうことだ。それで俺の名前だが、『忍足 雅也』という。ま、それでも今まで通りウェルトって呼んでくれると助かる」
「つまるところ、今までと何も変わらないってことだね」

ウェルトの説明は、付け足されたルーヴェの一言によって締めくくられた。

「さて、他に俺について聞きたいことはあるか?」

ウェルトは、他に何か聞きたいことは無いかどうかを視線で皆に尋ねる。
すると、アテリアがおずおずと手を挙げる。

「何だ、アテリア?」
「えっと、結局お兄さんのあの力って何なんですか? 人狼、になってたみたいですけど」
「あー、あれか」
「え、何の話よ?」

どうやら衝撃の事実から立ち直ったミシェルが興味津津と言った感じで聞き返す。
復讐を考えている、というのは確実に実行を起こすだろうとミシェルは確信を持っている。
だが、それと同時に。
ウェルトは自分とフィルを『救う』選択肢を選んだ人間である事も知っている。
だから、心配はしてても悪い結果になるという不安はなかった。

「いやまぁな? ちょっとばかり馬鹿野郎に灸をすえる際に……」

ウェルトはミシェルの内心を知りもせず、質問に答えようと右手を自らの胸に当てて笑う。

「この姿になったもんでな?」

次の瞬間、ウェルトの体を闇が包み込む。
それが晴れた時、そこにいたのは銀の毛皮を持つ人狼の姿。
その姿を初めて見る二人の少女は、呆然と見上げていた。

「まぁこの力は、俺が『過去に一度でも取り消し、変更を施した』呪いを再現もしくは改変して自分にかけるって能力だ。他に、俺には呪いの取り消し、変更を行う能力があるわけだけどな? ちなみに制限として、『忍足 雅也』という名前を知っている仲間の前じゃないと使えないが」
「……もしかしてさ? ルーヴェって、この事知ってた? だとしたら合点がいくんだよねー。……どうしてルーヴェが今回に限り、ウェルトが一人で相手の本拠地に行くことを許したか、のね? だって、魔法使いで無い人間が魔法使いと真っ当にやり合って勝てるはず無いのに、案外あっさりと送りだしたんだもんね?」

ジト目でルーヴェをみるフィル。
どうやら、ウェルトの姿による衝撃よりも、ルーヴェが自分に隠し事をしていた事の方が重大だったようだ。
そしてそれは、ミシェルにとっても同じことだったらしい。

「……知ってたの?」

四つの瞳はルーヴェに対し、『どうして?』と訴える。
対するルーヴェは、それから目を逸らす事もできず、弱々しく頷いた。

「くくっ、あまり親友をいじめてやるな。俺が黙っててくれと頼んだ訳だからな」

ウェルトはそういいながら、再び胸に右手を当てて人間の姿へと戻る。

「この世界の技術っていうか能力じゃねえしな。それに何より、この能力はばらさない方が良いんだよ。本来の俺の戦い方でもないしな」
「武器って……あの籠手は?」
「生憎あれは代用品だ。本来の武器は……いい機会だし見せておくか」

いうなりウェルトは、ベッドの下にある箱を取りだした。
それは、黒い鎖で雁字搦めにされた、大きな箱だった。

「……」
「……」
「……」
「……」

質問をしたミシェルも、フィルも、アテリアも、好奇心の塊であるヴェルでさえも押し黙った。
その理由は、その木箱と鎖から漂う嫌な空気を感じたからである。

「……相変わらず、凄い呪気の塊だよね?」
「ま、それだけ『想い』が籠ってるからな」

対するウェルトは飄々と、ルーヴェの言葉に返答しながら鎖を解く。
雁字搦めだった筈のそれは、あっさりと解けた。

「言っとくが触るのは良いが着けるのはやめておけよ?」

そうして、木箱の蓋が開かれた。
全員の目に映るのは、一対の白銀の籠手……それも肘までを覆う節目が多く可動域が幅広い物。
さらに、黒の三砲銃と白の二砲銃。
それらは危険な雰囲気を醸し出しながらも、見る人全員にある種の感動を与えていた。

「綺麗……」

思わずミシェルが零した言葉に、他の三人は同意する。
確かにこれらは怪しく、危険であると理解する。
だが、どこかそれらが尊い物の様な。
とても、純粋な物にも思えるのだ。

「だろうな。それらはある一組の恋人の『想い』。そして友が俺に託した『想い』がある」

静かに、そして優しい声音でウェルトの声が響く。
驚いた三人は思わずウェルトの方を向く。
そこには、何かを思い起こす様な目をした少年が居た。

「そうだな。折角だし説明をしておくか。それに……アテリア」
「何ですか、お兄さん?」
「お前に一つ確認しておく。あの日、あの時に言った言葉は……本当か?」
「……はい!」

何のことかわからない四人は顔を見合わせるが、ウェルトはその言葉に満足したようで軽く頷いた。

「わかった。ならば、お前にこの銃……『ケルベロス』と『オルトロス』の主認定資格挑戦権をやろう」
「え?」
「この銃はな。気高き番犬二頭の名を冠しながら……何かから奪う事にしか使われなかった。それを嘆いた俺の友が、これらを回収して俺に頼んだんだ。『どうか、護る意志のある存在に使ってもらいたい』ってな? ま、だからこれを扱うにはこいつらに認められる事が必要って訳だ」
「そういう、ことですか」
「ああ。どうだ? 言っておくが、こいつらは確かに何かを護りたいという『想い』が籠った代物だ。だが忘れるな? それでも力は力だ。何かを護る為に、敵には犠牲を強いる。そういうことも有り得る。……力とは綺麗なもんじゃねえ」

ミシェルがはっとした顔でウェルトを見る。
ウェルトは、笑みを返した。

「さて、それらを理解した上で選べ。こいつらを握ればそこから試験開始だ。だが、こいつらを使わずともお前の目的は達成できるだろうから受けなくてもかまわない」

二丁の銃の柄を差し出すウェルト。
アテリアは、それらをじっと見つめた。
しばらくして、彼女は顔を上げると。

「……いきます」

それだけ言って、それぞれの柄を握った。



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狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




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