軒下の箱

やっているネトゲとか、何か書いたものとかをつらつらと。 不定期更新で行く予定

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お久しぶりの更新でございます。
色々動いてはおりました。
別所でこそこそ連載っぽいのを身内で書いてたりとか。

刃魔を一旦停止、書きたいのを書く為に全てのプロット変更したりとか。
MOEのSSも、どう終点をもって行こうかとか。

とりあえず、そんな中でアイデアが思いつかない、ということでお題を出していただいて書き上げたものをUP致します。
お題の関係で、偽島のミュウ=アステカ(806)を知ってくださるとより楽しめると思います。
というか、知らないとどういう話なのか解からないと思われます。

さて、そのような内容ですがお楽しみいただければ幸いです。






これはある一人の生を見護る、二つの生のお話……。




短編    太陽に、導かれた者たち





これは奇跡だったと。
私は(うちは)、
胸を張って言えるだろう。









「クアウテモク殿。時に、ロリコンって呼ばれたことはあるんかいね?」
「……唐突になんだ? それにその呼び名には何の意味がある?」

一人の妖精に憑いている二人。
方や、主。
方や、盟友。
その立場は違えども、共に同じ座に居て一人の妖精を見護る存在。
だからこそ、その会話に遠慮など一切なかった。

「ええと、幼女に対して欲情する人、って意味だったかなぁ?」

ロリータコンプレックス、という言葉が存在しなかったのだろう。
そもそも、知っていたとしてもクアウテモクに面と向かって言う存在はいなかった筈だ。
アステカ帝国の若き戦士長。
怒らせれば……。

「……貴様が生きているのならば即刻生贄に捧げている所だ」

彼らの祀る神への生贄として捧げられてしまうのだから。

「残念だけど命はもう捧げてしまったからあらへんし体も腐って無くなってるね。で、そういう類の言葉は言われなかったん?」
「言われたことはないな。何しろ私はそのような趣味ではない」

真面目な顔で、クアウテモクは凪に答える。
真直ぐとした視線、毅然とした態度。
それは古の帝国の中で力を束ねる長としての威厳すらも感じさせていた。

「ただ、妖精が好きなだけだ」

ただし、その威厳を発揮する所を力いっぱい間違えている気がしないではない。

「……そーゆーのをロリコン、と世間一般では言う気もするなぁ。妖精限定なら、フェアリーコンプレックスってことで、略してフェアコンかねぇ?」
「ふむ、だがそのような言葉が生まれているということは、私と同好の者が近代でも存在する可能性があるということか。見込みがあるな……」

凪は、全力でどんな見込みがあるのか聞きたくなかった。

「だが、妖精が好きな私でも……」

クアウテモクは、優しい眼差しになり足元に広がる映像を見る。
そこには獣の皮を被った、クアウテモクと同じような格好をした妖精がいた。
草木に囲まれた場所、そこで精いっぱい戦っている姿を眺めながら、クアウテモクは言葉を発しない。
まるでそんな物は必要ないかのように、ただただ視線を送る。

「……大事、なんやねぇ」

凪もまたそれだけ言葉を残す。
二人にとって、主語は必要がなかった。
言葉がなくても伝わる、共通であり唯一の存在なのだから。

「……所で凪」
「ん? なんや、クアウテモク殿?」

和やかな雰囲気を壊さぬように、感情をある程度抑え込められた声。
それに凪は答えて、次の一言で後悔することになった。

「先ほどの、ロリコンとやら呼ばわり、撤回してもらおうか」

覇気、と名を付けるべき威圧感がそこにはあった。

狩人は獲物を狩るその時まで殺気を漏らす事はない。
だが、戦士はそれだけで相手を圧倒しようと敢えて相手にぶつける。

相手に対して、お前は狩られる側だと印象を付ける為に。
……ただ、それをやる場面が違うだろう。
「きゃー、襲われるー♪ フェアコンすらもオトすうちって、魔性の女?」

対して凪は、その空気の中で笑みを浮かべてそんな事を言っている。
彼女もまた、生前は何の恐怖も感じない壊れた暗殺者であった。
その特性を発揮し、クアウテモクから発せられる異常な殺気を受け流している。
どう考えても、第三者がいれば才能の無駄遣いだろう。
しょうもない理由で、激闘を始めようと言うのだから。

「……流石に猿に欲情する趣味はないぞ?」

「さ、猿やてーっ!?」

平然とクアウテモクから放たれた言葉に流石に凪も反論をしようとする。
身軽な彼女だからこそ、猿に例えられるのは強ち間違いでもない気もするが、乙女的にそれはNGなのだろう。

「ほれ」
「うっきゃー♪」

だがそんな怒りも、クアウテモクが放り投げたバナナによって途切れる。
頭上を通り超えるような奇跡を描いたそれは、凪の遥か後方に落ちそうになる。
だが、凪はその鍛え上げられた身体能力をもって、地面に落ちる前にバナナをダイビングキャッチ。
そのまま回転して地面に足を付けて着地を行う。
何度も言うが、しょうもないことに二人は全力を注いでいる。
また、第三者がいれば『元気な死人もいたもんだ』と言われてしまうだろう。
下手をすれば黄泉への誘い手でさえも生者と勘違いするかもしれない。

「はふっ、もふもふっ!」
遠くでキャッチしたバナナを頬張る凪を見てクアウテモクは一言、呟く。

「……猿、よりは犬かもしれないな」

そしてふと足元に映された映像を見る。
そこでは、彼の見守る妖精が泣きながら目を覚ます光景。
「……」

その様子を見て、クアウテモクは顔を曇らせる。
すると、ものすごい勢いで凪がクアウテモクの側へと駆けよる。

「ふもふもふもふ! ふうふもふもふもふもっ!」
「呑みこめ、話はそれからだ」

大慌てで凪がバナナを呑みこむ。
だが、詰まったのか必死になって胸を叩く。
そこのふくらみに対しての言及はこの場では止めておく。

「んっ! ミュウが、どうしたんね!?」
「泣いている、ようだ」

二人は映る映像を覗き見る。
映像は泣いている妖精が水辺でで顔を洗う光景を映し出していた。

『……情けない顔なのだ……』
『……凪……主ぃ……会いたい……会いたいのだぁ……』

普段なら強気であり、弱音を吐かない妖精。
その声に、古の主は見えるわけでもないのに、慈しむような表情を浮かべる。

「どうしたミュウ、何を泣いているのだ」
『……!?……この、声……』
「相変わらず泣き虫やねぇ、アステカは……」

二人は驚いていた。
こちらの声は届かない、それがこの場所の規則だった。
だけどそれを表に出すよりも、二人には掛けるべき言葉があった。
長い間伝えることのできなかった、大切な言葉を。

『凪……凪もいるのか!?』
「……アステカ、うちらはいつも君のそばにおるけ……やけぇ、安心するんじゃけえね」
「アステカの神々は常に我々の味方だ、そして、私達もお前を見守っているぞ」


そうして二人は笑顔を浮かべる。
相手に伝えようとしたわけではなく、それは自然に浮かんだもの。
その表情は伝わらなくとも、言葉が伝わるのなら。

『……そうか、天から我を見守ってくれているのだな……』

彼女の涙を、止めるぐらいはできるのだから。

『……必ず宝玉を集めてみせるのだ!やってやるのだー!!』

「うちらの声、届いたみたいやね」
「そうだな」
「宝玉のおかげかいね……?」
「きっとそうだろう、あの宝玉は神聖なる力が宿っている」


二人はそのような事を話すが、理由はどうでもよかった。
ただ、今までは伝えられなかった言葉が伝えることに喜びを感じていたのだから。

「アステカ、ファイトやけ!」
「ミュウよ、がんばるのだぞ」

彼らの目に映る妖精は、拳を振り上げながら精いっぱいの笑顔を浮かべていた。

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狩咲 佐倉

Author:狩咲 佐倉
ネトゲとかいろいろやってます。

このブログの更新頻度は確実に遅くなる、だろう。




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